第1回講演会
世界の発酵食品、ヒトの歴史と
知恵についての講演
(平成26年)
(故)今井先生との交流
私は小倉生まれの小倉育ち。幼少の頃、祖母(母方)の家の中の流しの近くの井戸の側に糠味噌の入った大 人の腰の高さ位ある大きな瓶があった・蓋を開けると隣の部屋まで糠味噌の香が流れてきて充満したのを覚え ている。祖母は鯖のぬか炊きをよく作っていた。それは大変美味しいもので、鯖に糠味噌の味が良く染み込み、 鯖が煮込んだ糠味噌の中に埋まっていた。鯖がなくなると、流動性のない煮詰められた糠味噌を熱いご飯に付 けて食べたものだ。ご飯が熱く、唐辛子が効いているのでフーフー言って食べたが,これが相当美味しかった ことを6 0年経った今でもはっきり覚えている。現代風糠炊きのように調味料を多用せず発酵熟成した糠味噌だけで炊いていたように思う。甘みはなかった。社会人になり、仕事で長年、和歌山に住んだが、時々、母が鯖のぬか炊きを送ってくれた。退職後、故郷の小倉に戻り、母から糠味噌を一回分貰って自分でもぬか炊きを作ったことがあった。糠味噌を焦がさないよう煮汁が無くなるまで煮詰めるのだと、60才前にして母から教わった。
北九州小倉・糠床糠炊き研究会会長
平成26年9月、北九州小倉での(故)今井先生の講演終了後、先生のご講演を記念してこれを何らかの形で残したいという機運が高ま り、 平成26年9月15日,当時6名の有志で北九州市小倉の伝統的糠床食文化の一層の発展を目指し”北九州小倉糠床・糠炊き研究会が設立された、研究会は、 祖母の糠炊き (古式糠炊き)の徹底追及と(故)今井先生の糠床発酵の科学を複合させ、健康指向の 糠床と糠炊きを目指してスタートを切り、同年10月, (故)今井先生が研究会の顧問に就任下さった。
・糠床セミナー2025・・・・・・・・・・・・・nuka bed seminer 2025
・研究会発足10年記念講演会開催 9月15日 於、北九州市立大学北方キャンパス1号館
・竹粉床と米糠床の相性・・・・・・・・・・Compatibility of bamboo powder bed and rice bran bed
・志井小学校 PTA対象の糠床・糠炊き講習会・Shii Elementary School Nuka-doko and Nuka-daki cooking class for PTA
・別府大学と北九州市立大学での糠床授業・Nuka bed classes at Beppu University and Kitakyushu City University
・生糠と煎り糠の状態観察、及び発酵性の比較・Observation of the state of raw bran and roasted bran and comparison of fermentability
・みどりの愛護のつどい・・・・・・・・・・・Green protection gathering
・健康フェア・・・・・・・・・・・・・・・・health fair
・北九州市観光案内ボランティア・・・・・・・Kitakyushu City Tourist Guide Volunteer
・100年フードフォト・スタンプラリー参加店・・・・・・100 Year Food Photo Stamp Rally Participating Stores
・100年フード認定とその後の取材・・・・・・Certified as a 100-year of hood
・100年フード」都道府県別一覧・・・・・・・100 years food list by prefecture
・100年フード」有識者特別賞一覧・・・・・・100 Year Food Expert Special Award List
・発酵ジャパン2022(祝 百年フード認定)・Fermented Japan 2022 (100 years Food Certification)
・糠床講習会実施団体の紹介・・・・・・・・・Nukadoko workshop organization
・研究会の活動領域・・・・・・・・・・・・・Area of activity of the study group
・糠の食文化の次の100年を目指す取組を農林水産省九州農政局で発表
・アレンジレシピ・・・・・・・・Arrange recipe
・研究会の設立と規約・・・・・・Establishment and Bylaws of the Study Group
・糠床の歴史・・・・・・・・・History of Nuka-Doko
・糠床とは・・・・・・・・・・What is Nuka-Doko
・今井式速醸床の追試実験(2015.1 開始)・・・・Supplementary test of Imai-style Sokujodoko (Started January 2015)
・糠床は速醸床の時代・・・・・Rice bran bed is the era of fast brewing bed
・種々の種糠使用の速醸床の比較観察・・・・・Comparative observation of quick-fermented beds using various seed bran
・糠床・温度効果・・・・・・・Temperature effect on the fermentation of a rice-bran bed
・種糠とは・・・・・・・・・What is a starter for the fermentation ?
・小倉城・シロテラス・・・・・Kokura Castle
・糠床の再生法・・・・・・・・・Regeneration of a deteriorated rice-bran bed
・大麦糠床の作成・・・・・・・Preparation of a barley-bran bed
・食文化交流・・・・・・・・・Food culture exchange
・糠床食文化・・・・・・・・・Bran bed food culture
・発酵食品で免疫力アップ・・・Immunity boosted with fermented foods
・糠床はなぜ皆に好まれるのか・Why is a fermented and aged rice-bran bed preferred by everyone?
・野菜を糠床に漬けると・・・・When vegetables are pickled in a rice-bran bed, what do you think will happen ?
・糠炊き修行・・・・・・・・・・・Training for Nuka-Daki preparation
・大学との研究交流・・・・・・・・Research exchange with universities
・定例会・・・・・・・・・・・・・Reguler meetings
・公開講演会・・・・・・・・・・・Lectures open to public
・講習会(伝承と啓蒙)・・・・・・Training sessions(Lore & Enlightenment)
・・・・・公開講演会とその実施経緯・・・・・・Public lectures and their implementation background
・・・・・糠床勉強会・・・・・・Study group for our research advisers
・・・・・北九州の郷土料理 糠床・糠炊きの魅力発見・Kitakyushu's local cuisine Discover the charm of NUKA-DOKO and NUKA-DAKI
・・・・・体験型講習/授業・・・・Hands-on learning on Nuka-dokos
・・・・・福岡県立小倉高校 SSH-授業・・・Fukuoka Kokura high school
・・・・・糠床講習会(於、今元公民館)・・・・At public halls
・・・・・糠床講習会(於、志井市民センター)・At citizen centers
・・・・・糠床とその易しい科学・Nuka-Doko in plain science
・・・・・小学生への糠床講習と夏休み観察研究・Observational studies on Nuka-Doko for school pupils
・・・・・糠床の分析と健康診断・Analysis and health examination of Nuka-Doko
・株式会社ナノクスとの出会い・・Encounter with NanoX Corporation
・イベント参加 & TV取材(発酵ジャパン2015)・・・・・・・・・Event Participation
・康子の部屋・・・・・・・・・・Yasuko's room
・国際交流・・・・・・・・・・・International exchange
・岩永美樹の世界・・・・・・・・The world of Miki Iwanaga
・ぬか友の会の様子・・・・・Nukatomo no Kai
・くらぶ[ぬか喜び」開設・・・・・Establishment of a club named, "Nuka-Yorokobi", in citizen center for studying Nuka-Doko and its application with joy.
・「これが糠炊きだ!」・・・・・This is real Nuka-Daki, boiled blue fish flavored with fermented and aged rice bran
R&D
・小浜市vs 北九州市の食文化交流会の成果・・・・・<2024.9.15、日本水産学会発表>
・新型糠床の開発・・・・・・・・Development of new types and functional Nuka-Dokos
・・・・・研究会、(株)ナノクス/丸福水産、水産大学校との3者連携研究・Research group, Nanox Co., Ltd./Marufuku Suisan Co., Ltd., Collaborative research with Fisheries University
・・・・・研究会、水産大学校、(株)ナノクス(丸福水産)との連携研究・Collaborative research with study group, Fisheries University, Nanox Co., Ltd.
・・・・・窒素ナノバブル鰯の糠炊き・Nuka-Daki of sardine stored in sea water containing ultra fine bubble of nitrogen for preventing oxidation of sebum of fish
・・・・・第2回鳩麦糠発酵実験・・・・・・・・Experiments on the fermentation of high quality Adlay bran used for a pickling bed.
・・・・・糠床に発生した白色粒状物質の分析・・Analysis of white particulate matter generated in rice bran bed
・官能評価と解析・・・・・・・・Sensory Evaluation & Analysis
・・・・・・官能評価用糠炊きの作り方・・・・・How to make Nuka-Daki (boiled fish flavored with fermented and aged rice bran bed) for sensory evaluation.
・学会活動・・・・・・・・・・・Activities for Scientific Society
・・口頭発表・・・Oral Presentations
・・・・・・・・・第25回日本生物工学会 鹿児島大会・The 25th Annual Meeting of the Biotechnology Society of Japan Kagoshima
・・論文投稿・・・Published Articles
・・・・・・・・・日本食品科学工学会誌、67 (1), 35-43 (2020).・Journal of Japan Society for Food Chemical Engineering, 67 (1), 35-43 (2020)
・調査研究・・・・・・・・・・・Research Studies
・・・・・糠床とピクルス漬け床の揮発成分の比較・Comparison of volatile components between rice bran
・文献紹介・・・・・・・・・・・古田吉史(精華女子短期大学)
・・・・・プロバイオティクスとしての熟成米糠床
・・・1) 熟成糠床からの人工胃液・腸液耐性を有する乳酸菌の分離
精華女子短期大学紀要,46, 55-60 (2020).
"Isoolation and Identification of Lactic Acid Bacteria with Gastrointestinal
Transit Tolerance from Aged Nukadoko", Yoshifumi FURUTA,
JOURNAL of SEIKA WOMEN'S JUNIOR COLLEGE, vol. 46, pp 55-60 (2020).
・・・2) 糠床への浸漬による野菜に付着する微生物叢の変化
西南女学院大学紀要, 21, 145-151 (2017).
"Changes in Microbiota Adherent to Pickled Vegetables during Nukadoko
Fermentation", Yoshifumi Furuta,
BULLETIN OF SEINAN JO GAKUIN UNIVERSITY, 21, 145-151 (2017).
・・研究会顧問の論文 (ぬか床専門店代表 波多野淳子)
・・・・・"ぬか床の魅力:ぬか床とぬか漬けは何故、皆に好まれるのか" . 波多野淳子、伝統食品の研究,44, 13-21 (2017).
・・・・・第63回 伝統食品に関する講演会にて発表(下関、水産大学校、2015)
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私は昭和23年(1948)、小倉生まれの小倉育ちで幼少の頃から祖母の糠炊きで育ち、社会に出てからは母が作って送ってくれまたが、平成22年(2010)母は他界しました。「糠味噌を入れたら焦がさないように、煮汁が無くなるまで弱火で煮詰めなさい」と言った母の言葉を思い出します。 私は平成25年から試行錯誤で糠炊きづくりを繰り返しました(糠炊き修行)。40年近く化学に慣れ親しんできた私は、糠炊きのこの旨味は一体如何なる化学成分由来するのだろうと考えるようになりました。先ずは、糠床作りから始めねばならない。「私は祖母の糠炊きの香味を何としてでも再現したい。その大元である糠床作りを教えて下さい」、と頼みその基本を学んだ。 平成25年12月、今井正武博士の論文を読んで感動した。糠床の香気成分とその発現由来をはじめ、糠床の微生物のことが記されていた。 私は、「これだ!」と思った。今までの私の専門は触媒開発であり糠味噌とは無縁の分野であったが今井博士の論文に魅了されたのだった。 これは、何としてでも今井博士に会いたい、直接会って糠床の科学で教えを乞いたいと思い、今井博士をネットで探し続けた。しかし、手掛かりが全くつかめず諦めかけた時、平成26年2月、今井博士との交流が遂に実現した。 今井先生は私の全ての質問に答えて下さり、自筆の長い書状として送って下さいました。以後、先生との間で糠床に関する科学的視点からの問答が延々と続いた。そして、何としてでも今井先生を糠の食文化を持つ北九州にお招きして講演していただこうと決意しました。講演会会場、宿泊先などを決めるべく奔走しました。その結果、会場は北九州市立大学に決定しました。宿泊先は私の自宅にし、朝、私が釣ってきた鯵のフルコースで心からの御もてなしをすることにした。そして、平成26年9月に今井先生の第1回目の講演会が遂に実現した。第2回目の講演会は平成27年8月に実施することが出来ました。今井先生は多数の論文、特許を出され糠床発酵の科学の普遍性を日本で初めて説かれたパイオニア。先生との出会いは、糠の食文化の伝承活動をしている私共にとって切っても切り離せない存在である。平成26年に今井先生から伝授された速醸床は今でも私は糠床講習会で多くの方に伝承しており、数値管理された速醸床を研究開発のための重要ツールとして仕上げ、学会発表と論文投稿にも適用しました。速醸床/速醸法は私の研究活動の土台になっています。 。